ギャラリー6 : ナバテアの社会

この展示では、次の3つの内容の各展示を通じて、ナバテアの社会を考えていきます:

  1. ナバテア王国と王家 ナバテア王の系譜、王の肖像が描かれたコイン、王家に関わる邸宅からの出土品等
  2. ナバテアの言語とナバテア文字、碑文
  3. ナバテアによる乳香と没薬を中心とした交易、交易関連出土品、交易地図

 

ナバテア文字

このナバテア語の碑文は、ペトラ遺跡公園内のザントゥール遺跡から出土したもので、ナバテア王国時代、紀元後9年から10年のものです。

碑文はナバテア文字で書かれています。ナバテア文字は、アルファベット順に22文字で構成されていて、現代のアラビア語と同じく、右から左に書かれました。ペトラが栄華を極めた紀元前1世紀から紀元後1世紀にかけて、ナバテア文字が広く使われていました。後の時代には、ナバテア文字から、現代のアラビア語で用いるアラビア文字が生まれます。

ナバテア人がこの碑文に書いた文章を読んでいきましょう。碑文の右側、銘文の行の最初の部分は欠けています。展示されているのは、もとの碑文の左側の残っている部分ですが、そこには断片的ながら、次のような文言(ぶんげん)を読み取ることができます。

「王アレタス」は、紀元前9年から紀元後40年まで王位に君臨していた、アレタス4世を意味すると思われます。「シェバット」とは2月を指し、「王の在位18年目」は紀元後9年または10年を指します。「王妃ハグル」は、紀元前59年から紀元前30年まで王位についていたマリクス1世の、娘であったとも言われています。

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